126:国語

 小野先生の授業で記憶に残っているのは、国語の最初の数時間、自分の名前をひらがなでひたすらノートに書かされたこと。『なかざわきりこ』を繰り返して書く作業にうんざりした。隣席の西本君を見ると、『にしもとよしかず』とまじめに書き続けているので、私も名前書きを再開するしかない。左利きの堀内君を叱る先生の声がしばしば聞こえた。堀内君が鉛筆を左手で持つたびに先生が注意する。現在では矯正を強いるべきでないとされるが、当時は右利きに直す教育が当たり前だったようだ。右利き用に作られた道具が多いので、左手しか使えないと不便だし、箸を左手に持つと行儀が悪いと考える人もいる。ストレスのない範囲で右手を使う練習をさせて、両手が使えるようになれば、右利き以上に便利だろう。本来は左利きで両手とも自在の友人達を羨ましく思う私は、息男の誕生後、右利きの彼男の左手にスプーンを渡すように心掛けたが、すぐに右手に持ち替えてしまって、両手使いに育てることはかなわなかった。

"126:国語" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント